2011-12-04 19:56:17
小学生の日常ではまず聞く事のない単語に少年は首を傾げた。食品衛生コンサルタントって何?それに対し、少年の父親は眉根を寄せた。怒りからではない。自分の子供が親の職業を露と知らず、またその眠そうな顔を見れば興味の一欠片も無い風を悟った事で落ち込む気持ちを引き締める為だった。会社では強面で通り、初対面の人間が難色を示す寡黙さでもって、父親の精神的な繊細さは今のところキッチンで夕食の準備をしている彼の妻だけが預かり知る秘密である。
少年の疑問の由来は学校の宿題の一環だった。自分達の身近な問題から始める社会科授業の宿題で、少年は父親の職業がそれと知らず食品衛生コンサルタントについて調べる事を選んでいた。父親はしょっぱい気持ちになりながら、妻が運んできた料理の一つを題材に息子に懇切丁寧に教えてやる事にする。例えの為にサラダ一つを手にとり、少年に物流を問うと農家で収穫、運送を挟んで小売店やスーパー、といった答えが返ってきた。少年の学業の一端を垣間見て、父親は嬉しい気持ちになる。
では食品衛生コンサルタントがどの部分に介入するかと問えば、首を傾げながら販売店に着いた時?と自信がないように小さく呟く。父親は息子の頭を一撫でし、近年の食に関わる事件を挙げながら自分の会社の業務を説明していく。一通り説明し終え、自分が担当している店舗の名前を教えれば少年は眠たそうな目の奥に尊敬を込めて、今度連れていって、と父親にねだった。